兜町カタリスト
番外編「櫻井英明の現場に行ってみた:第7回 バリュエンスHD」
「清浄な空間」
雨上がりの初冬の朝に訪れたのが東京メトロ銀座駅からすぐの「なんぼや」銀座本店。
地価の発表で有名な銀座鳩居堂ビルの6階にありました。
銀座は三越やブランド店が立ち並ぶ高級感あふれる繁華街。
若者に人気なスポットも急増中のエリア。
銀座という土地柄もあり、ハイジュエリーやハイブランド、古美術品などと幅広い商品の買取りを行っています。
取り扱っている商品はさまざま。
「銀座本店は少々小さい店舗ではございますが、店内の音楽にも気を配り、お飲物を飲みながらゆっくりと落ち着いていただけるような店舗作りを目指しております」とある。
驚いたのは内部のつくり。
鳩居堂ビルだけにほのかにお香の香りが漂うエレベーターを降りると…、
空中店舗でブランド品の買取りというイメージからは程遠く、印象は「都会の歯医者さん」。
ホワイトで統一された壁。
ウッディなインテリア。
緊張感と警戒感を解きほぐしてくれて安心感に包まれたような店づくりでした。
査定ブースは4部屋。
「いくらで買取ってくれるのだろう」という期待感を持って訪れる顧客を迎えてくれる暖かいモードでした。
そして静謐と清浄さ。
ふと感じたのは「Last Resort」という言葉。
ブランド品が次の行き場を求めてようやく巡り合う場所というイメージなのでしょう。
「なんぼや」を運営しているのは「バリュエンス」。
お客さま一人ひとりへ「人生を変える価値」を提供することで、それぞれが「らしく、生きる。」ことのできる世界の実現を目指しておられます。
バリュエンスグループでは、ブランド品などのリユース事業を中心に、美術品や骨董品、不動産など様々な実物資産に関する事業を国内外のグループ企業で展開。
企業の拠点や事業内容は違えど、あらゆるお客さまへ「人生を変える価値」を提供し、一人ひとりの「らしく、生きる。」姿の実現とお客様の生涯に寄り添う“Value Design Company”を目指します」とあります。
「店長さんのお話」
ベテランと思しき店長さんが丁寧に対応してお話をしてくれました。
「どんなお客さんやどんな品物が多いのでしょうか」。
「年齢や性別等は特に偏りはないですね。
品物も時計やブランド品などフィールドは広いです。
時には信じられないような高級車で乗り付けるお客さまもおられます。
かつては日本への旅行の途中に現金が足りなくなってしまって身に着けている時計をお売りに来られるかたもあられました。
セカンドオピニオンを求めに来る方もおられます。
時計などはその価値に対する知見をきっちり求めている方が多いというのが印象です。
宝石、高級バッグ、貴金属、骨董品などバラエティに富んでいますのでこちらも必死にフェアプライスを出しています。
まさに「フェア・プライス、フェア・バリュー」を日々追い求める毎日ですね。
このところ目立っているのが「断捨離」など、自宅に眠っているモノを整理した後、売却にこられるお客さまでしょうか。
そしてリピーターのお客様も多いです。
1度目と違って2度目の時には皆さまリラックスされています。
よく聞くのは「こんなに高く売れるとは思っていませんでした」という言葉です」。
いろいろ教えてくれました。
そして…。
「もちろん金額で評価することは重要です。
でも、それだけではないと思うんですね。
お客様がその品物と過ごした時間や思い出は簡単には整理できないもの。
その思いを少しでも査定に反映して差し上げることがお客様にとっての利益につながると思うんです。
そう考えて一生懸命に日々査定をしているんです」。
因みに…。
50年前のセイコーの未使用の時計を持って行って見ていただいた。
「一目でわかります」と店長さんは説明してくれた後で…。
思い描いていた評価よりも相当高い価格を表示してくれました。
バリュエンスさんのHPにはこう書いてありました。
リユースという言葉を、世の中のあたりまえに。
そしてさらに、お客様一人ひとりの「人生を変える価値」の提供を目指して。
私たちバリュエンスグループが考えるリユースは、お金に困ったからモノを売るのではなく、大切にしてきたモノの価値を、必要とする誰かへとつなぐこと。
そして、その時に本当に必要な新しい投資をするため、新しい自分に出会うきっかけをつくることです。
日本古来から続く、大切なモノを、親から子、孫へとつないでいく文化を見直したとき、必ずしも、身内だけではなく、大切にしてくれる“誰か”であってもいいのではないか。
そんな考えが根底にあります。
もっとたくさんの人に、リユースの良さに気づいてもらい、生活のサイクルに取り入れていただきたい。
ゆくゆくはリユースという言葉が、世の中のあたりまえになるように。
そして、日本から世界へ、私たちの考えるリユースを伝えていきたい。
モノを通じて出会ったお客様とのご縁を大切に、様々なライフステージにあったお付き合いを続けていきたい。
日本でも世界でも、お客様一人ひとりの「人生を変える価値」の提供を目指し、新しいチャレンジを続けてまいります。
「未来のために」
さらに店長さん。
「この業界もこれからますます変化していくことでしょう。
DX化やAIの波もやってくるに違いありません。
でも…
個人的にはAIに負けない部分を作りたいと思います。
お客様の思いを的確にとらえることでは負けたくはありません。
そして提案力を磨きたいと思います。
一期一会でのおもてなしを大切にしていますが、それでも実際にはお客様はおなじみさまみたいな存在。
ブランド品だけでなく人生の多くの場面で遭遇する品物についての相談を受けることも多いです。
ですから、自動車でも不動産でもなんでも相談に乗れる存在でありたいと考えています。
これは私だけでなくて社員全員の思いでもあるはずです。
うちの社名はバリュエンスですから、Value Design Companyという表現はぴったりかも知れません」。
同社の発しているメッセージはこんな感じです。
「Value Design Company」
価値は、ひとつじゃない。
需要と供給の曲線だけで決まるんじゃ
つまらない。
同じモノでも、
そこに込められた思いの深さは違う。
同じコトでも、
考え方ひとつで異なる体験になる。
同じヒトでも、
違った環境に身を置くことで、
花開く未来だってある。
価値の可能性は無限だ。
少し視点を変えるだけで、価値は動き出す。
だから私たちは常識を疑い、
新しい道を創り出す。
一人ひとりに、
らしく生きる道があると信じているから。
「今日も楽しく働ける」
最後に店長さんが話されたこと。
「出来ないという言葉はありません。
お客様の思いを受け止めることでお客さまに寄り添った提案ができ、新たな価値創造ができると思うとワクワクしてきます。
毎日がチャレンジの積み重ねで、今日も楽しく働けるという気持ちが続いていますね」。
この言葉を聞いて納得しました。
顧客利益と企業利益が一致している姿。
この企業の強さはココにあると思いました。
伺った時には空に雨雲が垂れ込めていましたが、お店を出たら初冬の太陽が眩しく輝いていました。
(以上)
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