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兜町カタリスト

番外編「櫻井英明の現場に行ってみた:第3回 NEW ART HOLDINGS」

2021/07/30



「ARTの最前線」
前回は原宿ファッションでしたが、今回は銀座からART。
「みんなの夢の企業グループ」NEW ART HOLDINGS(7638)のホワイトストーン・ギャラリーを訪れました。
場所は銀座泰明小学校の2軒隣にある老舗の画廊です。
ホワイトストーン・ギャラリーは1967年に銀座で開廊した、日本美術界の先駆者的存在。
国内では銀座、軽井沢に展開。
近年は台湾と香港にも進出。
2018年には香港2店舗を統合した新スペース「Whinestone Gallery」を一等地(H Queen's)に展開。
日本が世界に誇る前衛アートや現代アートを紹介すべく国際アートフェアに積極的に参加。
隈研吾氏監修による技巧を凝らしたアートスペースが広がる香港、台北ギャラリーは、欧米の強豪に負けずアートシーンの最先端を走ってきました。
そして…。
ARTの最前線基地は光輝く場所でした。



「時間の空気が閉じ込められている」
出迎えてくれたのは当然ながら数多くのART作品。
目についたのはやはり日本が世界に誇る現代美術の巨匠・草間彌生さんのかぼちゃをモチーフとした作品。
草間彌生さんは1957年に単身渡米。
主にニューヨークを拠点とし1973年に帰国するまで、後に代表作となるネットペインティング、集積によるソフトスカルプチャー、ハプニングなど、常に新しい時代の先駆けとなる活動を行ってこられました。
2012年、ルーブル美術館別館(フランス)の音楽ホールに花のデザインが床画として採用され永久設置。
2016年、文化勲章を受章。
何気なく飾ってあるART作品の価格を見るともなく見るとほぼ数百万円。
価格に目が行くのは証券関係者の習性ですが、それよりも圧倒されたのは作品の世界。
スタッフさんは
「良い絵と出逢うと絵が動いて見えませんか。
そして心がザクザクしてきませんか。
草間さんはすごいですよ。
絵を見る楽しみの一つは作者の意図を見抜くことでもあります。
もう一つの感覚は絵に時間の空気が閉じ込められているという感じですかね」。
抽象画だと「これは何?」と作者の意図を探ることも楽しいとも。
株式市場チックに言い換えてみると…。
「良い株と出逢うと、株価が動いて見えることがあります。
まず気持ちがザワザワしてきます。
株価に(未来の)時間の空気が閉じ込められているという感じですね。
これは何?って買い手や売り手の意図を探ることも楽しいですね」。
そんな言葉を聞きながらさまざまな絵画と遭遇しました。



「駘蕩感」
銀座の真ん中で絵画を眺めながら感じたのはリゾートの雰囲気。
なぜかハワイ・マウイ島のラハイナや南仏ニースやモナコの風に吹かれているような駘蕩感に襲われました。
ARTというのは日々の雑念を追い払い、気持ちを解き放ってくれる効果があるのでしょうか。
絵画だけでなく、何気なくおかれたガラス作品。
さりげなく置かれた置物や壁掛け。
(値段は数百万円以上)。
「今、欧米ではこれが人気の主流です」とスタッフさん。
「こちらは700万円、そしてこちらが1000万円超」。
さりげなく話されました。
そういえば1階に置かれていた草間さんのカボチャの置物を初めて見た時に「2億円」と伺って驚いたこともありました。
余裕を持った人生のためにはこういう添え物が必要だということ。
だからなぜか画廊にリゾートを感じてしまったのかも知れません。



「グローバリズム」
創業者の白石幸生会長は語ります。

「美術館の企画展では人が集まりませんが、ヨーロッパから有名な絵画を持ってきた展覧会を新聞で宣伝すると行列ができます。
オークションハウスの歴史を見ると、サザビーズの筆頭株主が日本人だったことがあります。
床の間文化から応接間を作るようになり、昭和40年代には絵画ブームが発生。
印象派の絵が売れた時代があります。
日本の高度成長期時代は100億円以上の絵画を買った人もいますが、第一次オイルショック、バブル崩壊後は高額な絵画は買わなくなりました」。

「有名な美術評論家など有識者を集めて日本の美術はこのままで世界に通用するのか?と問うためのシンポジウムを開催したことがあります」。
日本のARTに欠けているのはグローバリズム。グローバルに通用しなければ通用しません。
ARTにはノーベル賞がありませんが、作品・画家を高く評価することが、ノーベル賞代わりになると信じています」とも話されました。



「オークション」
NEW ART HOLDINGSはエスト・ウェストオークションズの70%の株式を取得して子会社化。
国際パートナー連合を組むことになりました。
またNEW ART HOLDINGUSの大株主でもあり、世界の主要都市数十か所のアートフェア等に毎年出展を続けて、香港、台湾、シンガポール等に店舗や営業展開しているホワイトストーン・ギャラリーと業容の拡大を目指して業務提携を決定しました。
エスト・ウェストオークションズは1984年3月日本で初めてのパブリックオークションを開催。
以来37年の長きに渡り、オークションの先駆者として常に新たな試みに挑戦しながら今日まで歩んできたインターナショナルなオークション会社。
取扱いジャンルは近代・現代絵画、日本美術、西洋装飾美術、ジュエリー&時計、東洋古美術、ワイン&ウィスキーと多岐に渡ります。
中でも日本の草間彌生や白髪一雄に代表される戦後美術や奈良美智らの現代美術は、まだあまり評価されていなかった1990年から地道に手掛け、今日これらの日本の美術作品が世界的に評価され、オークションの代表的なアイテムになったことの一翼を担ってきました。
また、装飾美術分野においてエミール・ガレ、ドーム兄弟らのアール・ヌーヴォーでは最高取扱高、一点の最高額とも世界一位を保持しています。

白石会長の言葉。
「アジアのオークションのハブになることを目指し、新たにニューアート・エスト・ウェストオークションズとして生まれ変わります。
新しい挑戦として2021年10月1日にコンテンポラリー、11月5日にモダンアートの東京オークションを大規模に開催します。
当面ハンマープライスで年間100~150億円、手数料収入で20~30億円を目標に、全スタッフ一丸となって取り組みます」。
時代の変化。美術品への評価の変化はまさに始まったという印象でした。

今年10月のオークション。
あるいは軽井沢ニューアートミュージアムのレポートなど今後取材していく予定です。
因みに軽井沢ニューアートミュージアムは主に日本の戦後から現在までの優れたアートを、新しい視点から日本の現代アートとして再領域化。
国際的な評価にたえうる諸作品を、広く国内外に普及してゆくことを目的として誕生しました。
企画展では、世界の第一線で活躍中の日本の現代アートの作家やそのグループ展だけでなく、海外作家も含めて、日本国内のみならず海外からの美術ファンの期待にも応えられるような斬新な切り口の展示を展開しています。



「追記:会場下見」
羽田空港第1ターミナル。
10月1日にニューアート・エストオークションズ主催のアートオークションの会場下見。
下見初日だというのにマスコミを含めて多くの人で大人気。
日本空港ビルさんとしても空港が賑わうことは大賛成でしょう。
閑散とした羽田に久々に人が戻ってきた印象でした。

取材の中でニューアート・エストオークションスの社長さんから興味深い話を伺いました。
「モダンアートの美術品はその作家の国の成長力を重視するべきです。
国家や人々が豊かになれば必ずと言ってよいほど美術館を作ります。
そこにはその国出身の作家の作品が飾られます。
だから作品の価格も上昇することになります。
ベトナムはだいぶ良いところまで来ました。
これからはフィリピン、あるいは今は大変な状況ですがミャンマーなどが面白そうですね。
成熟した国ではなく発展している国がターゲットです」。
「成熟していない新興国」というキーワードは株式と一緒。
面白いのは維新以降の明治期に発展を遂げた日本。
すでに長い歴史の中で新興国であるにもかかわらず美術は内部で成熟していました。
「日本画も浮世絵も既に開国の時には存在していましたから稀有な存在でした」。
美術の世界でも日本はやはり特殊な国だったということなのでしょう。
そして・・・。
「割安を探すのが我々の役割です」。
これも株式市場に通じる言葉でした。



「追記2:誰でも買えるみんなのアートオークション」
下記招待状を頂戴いたしました。




(以上)

NEW ART HOLDINGSの銘柄情報はこちら >>

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