兜町カタリスト
番外編「櫻井英明の現場に行ってみた:第6回 ユーピーアール株式会社」
「ビックカメラへ」
師走の午後の昼下がり。
東証アローズでの実況を終えて向かったのはビックカメラ有楽町店。
店内では時節柄クリスマスソングが流れていましたが、目的はクリスマスプレゼントを買うことではなくアシストスーツ「サポートジャケット Bb+FIT」を実際に装着見学させていただくこと。
「サポートジャケット Bb+FIT」はレンタルパレットのユーピーアール(以下upr)(7065)が販売しているスグレモノ。
「アシストスーツに興味はあるが、どのように使えばいいかわからない」
「どういった作業で利用できるのか?」
など、装着してみないことには理解が深まりません。
ビックカメラ(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:木村一義)が運営するビックカメラおよび、グループ会社であるコジマの一部店舗でも今年2月より販売開始。
6月からは取扱店舗が152店舗に拡大しているそうです。
3階の売り場に向かってまずはご対面。
置いてあったチラシに書かれていたのは「動力を使わず腰や身体の負担を軽減するアシストスーツです」。
農作業や荷作業、建築業、介護、庭いじり、雪かきなど応用範囲はかなり広そうです。
チラシの裏をめくると「人間工学に基づく製品開発」の文字。
「2000社を超えるニーズ・意見を利用者目線で開発し、荷物の上げ下ろしや立ち作業、中腰・前傾姿勢での「軽作業」において腰や身体への負担がかかりにくい姿勢に着目。
『3つの機能』を1着のスーツに搭載しました」とありました。
(1)フォームナビ機能
第二の背骨となるBb+(バックボーンプラス)を独自開発。
Bb+をジャケット背面に装着することで、背骨と腰の理想的な姿勢へと誘導します。
また作業時に伴う前かがみの姿勢を抑えることで、背中や腰にかかる大きな負担を軽減します。
(2)ランバーサポート機能
腰を安定、保護するための大きなベルトにより背骨と腹筋、背筋を包み込むことで腹圧が保たれ、装着することにより、作業時での腰や背骨への負担を軽減します。
(3)マッスル機能
膝から腰にかけて脚の筋肉運動を目的としたパワーベルトを装着。
装着することで作業時における前屈姿勢や起き上がりの力を補助し、疲れが軽減されます。
活字で読むとわかりにくいかも知れませんが、uprさんの作成された「漫画でわかるサポートジャケット Bb+FIT」はとても分かりやすいシロモノ。
「育児・家事、DIY、介護、農作業、フィッシング、雪かき・・・。
更に脚部分を取り外すと、テレワークにだって使えます」。
このセリフが目に飛び込んできました。
同行した日本IFA協会理事長氏(70歳台)が実際に装着されました。
フツーは重くてなかなか持ち上がらない水入りペットボトル6本入りのケースを軽々と持ち上げる姿。
そして上げ下げする姿。
「負担の軽減」は活字だけでなく実際の姿として体験することができました。
ビックカメラの広報さんに伺うと「親御さんのためにお子様が買いに来られることも多い」とのこと。
「一度試してみたい」。
「装着が難しいではなかろうか」。
いろいろな方がお見えになりいろいろな意見を聞かせてくれるそうです。
IFA協会理事長さんは初めてのことでしたが約1分で装着。
重いものを持って上下運動。
アレコレ想像するよりも体験することが一番理解できるな、と思いました。
「近未来、腰痛は無くなる、かもしれない」
パンフレットを見るとこんな文字。
厚生労働省によると業務上の疾病発生数の約6割は「腰痛」だという。
多くの人が腰痛で悩んでいる現実。
本来の姿勢を保つことが難しいからこそ本来の姿勢にサポートしてもらえば、人間本来の生活ができるはず。
バイオの世界では人間が本来持っている免疫を活性化させることで病気を退散させることがあります。
無理やりでなく「本来の姿勢」というのはそういう意味につながるのかも知れません。
因みに・・・。
「サポートジャケット Bb+FIT」は選べる「スリム」と「ワイド」の2タイプ。(ビックカメラではワイドのみ取り扱い)
Bb+(バックボーンプラス)を外して洗濯機で洗えるというスグレモノでした。
物流や製造業の作業現場だけではなく介護や農業などあらゆるシーンで活躍できるというのもまたスグレモノでした。
uprの「アシストスーツ」と同社のHP。
アシストスーツ(パワードスーツ・パワーアシストスーツ・サポートジャケット)は、現場の荷物、重量物の持ち上げ・持ち下げの際にかかる、作業者の腰・身体的負担を軽減する目的で開発された商品です。
女性・高齢者など多様な作業者の負担軽減に向けた現場環境の改善にも期待できます。
“腰”の悩みは社会的に大きな問題となっており、そのため腰を守るアシストスーツが注目されるようになってきました。
近い将来、ヘルメットや安全靴のようにアシストスーツで腰を守る時代になるでしょう。
私たちユーピーアールは、2010年よりアシストスーツ事業に取り組み、数千社のデモ実績により得た知識から導入を検討している皆様に、分かりやすく選んでいただけるご提案を致します。
「まっすぐ」
ビックカメラから徒歩数分。
uprさんの東京本社に赴きました。
同社は山口県の宇部本社と内幸町の東京本社の体制です。
応接室に案内されて、入社以来アシストスーツ一筋という担当者さんにお話を伺いました。
例えば「サポートジャケット BbPROⅡ」はお客様から頂いた声をもとに改良を重ねたそうです。
肩ベルトはクッション性、通気性のある素材に変更。
肩ベルトの左右開き防止のためにチェストベルトを追加。
装着の際にしっかりと伸ばすとホールド力がしっかりアップする脇強化ベルトを追加。
膝ベルトを独自開発のXパターンにして膝にかかる上方向への力を抑制。
取り外し可能なバックルの採用で装着がスムーズに。生地素材を変更し通気性アップ。
Bb+(バックボーンプラス)理論により背骨から骨盤にかけ、もう一つの体幹を生み出すために第二の背骨(Bb+)を独自開発。
人の背骨のアーチと適度な可動性によって椎間板の圧力増加を抑制し、負担の少ない姿勢確度をキープしてくれるそうです。
だから腰や身体をアシストしてくれるんですね。
アシストスーツ一筋の方のお話だけに説得力がありました。
今度は自分で身に着けてみました。
感想は「軽い」そして「良い姿勢になる」。
パッシブ型アシストスーツなのでモーターなどは使わず、第二の背骨で正しい姿勢 に導き、もも裏のゴムベルトで起き上がりと立ち上がりを補助します。
着用者の自重の位置エネルギーを利用して筋力の負荷を軽減するタイプだそうです。
だから価格も3万円台。
そして洗えるシロモノ。
装着した違和感は全くありませんでした。
先ほどと同じように6本の水の入ったペットボトルの移動や上下運動も簡単。
何より姿勢が良くなるのにビックリ。
はるか昔に戻って応援歌のフリをしてみたら腕がまっすぐ上がりました。
そして学ランを着ていたころのように背筋がまっすぐ。
ゴルフの前傾姿勢さえ完璧に決まりました。
勿論いろいろな作業は楽になりそうです。
そして「自重の位置エネルギーを利用して筋力の負荷を軽減する」という発想。
モーターなどでアシストしてもらうのもいいですが「自分の力」を使うという点も良かったです。
セミナーなどで数時間立ちっぱなしの時にスーツの下に着用しておくときっと疲れないことでしょう。
あるいはフェアなどで一日中立ちっぱなしのことがあるIR担当者などにも使い勝手はいいなとも考えてしまいました。
酒田義矢社長はいつも話されています。
「当社はパレット(物流現場で荷物を載せる荷役台)を中心とした物流機器を、メーカー様・倉庫会社様、物流事業者様等にレンタルする事業を主として『社業を通じ社会に貢献する』という社是の下、堅実に事業を持続・発展させてまいりました。
そして、人々の暮らしの維持に欠かせない物流を取り巻く、あらゆる課題の解決に挑戦する『Social Sharing Supporter(社会のインフラをシェアするupr)」を目指して、既存事業をより発展させると同時に新規事業を創造し、物流事業・コネクティッド事業を展開しております」。
こういうクライアントラインナップの延長線上に物流現場の荷役者負担問題がありその先にアシストスーツがあったのでしょう。
つまり顧客ファーストを展開してきた結果のアシストスーツだったと言えます。
同社の次世代対応型事業の一つとしての存在感の高さが伺われました。
酒田社長に東京本社を案内していただきました。
「とにかくワンフロア。これは宇部でも一緒です。
社長室も役員室もありません。
皆が同じ場所で働いています」。
確かに広いワンフロアでした。
そして結構気に入ったのが「リフレッシュルーム」。
お菓子もお酒もあって、業務終了後には誰でもくつろげるそうです。
ワインセラーもありました。
お昼は社員さんがランチにも利用されるそうです。
こういう明るさと温かさはおそらく思いやりに繋がって同社のESGやSDGsを進展させてくれるに違いありません。
「アシストスーツは作業者の腰・身体的負担を軽減し、女性・高齢者なども活躍の幅が広がれば少子高齢化に対応したダイバーシティの促進にも繋がります」と酒田社長。
SDGsは意識して到達するものではなく、自然に企業に伝わり伝えていくもの。
その実践がココにあるように思いました。
(以上)
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