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株ニュース

No.301「賭博者」

2018/05/21

土曜日経朝刊の見出しは「上場企業、純利益35%増」。
前期の決算集計が出揃っての解釈。
「上場企業の稼ぐ力の高まりが鮮明だ」となっている。
しかし前期は過去のこと。
「企業が予想した純利益の増加率は期末に近づくにつれて大幅に高まった。
期初は9%の増益見通しだったが第3四半期末で30%に上昇。
結果はさらに上振れて着地した。
最高益を更新した企業は全体の3割を占める。
特に改善幅が大きいのは電機と自動車だ。
この2業種合計で全企業の増益幅の半分強を占める。
前期大幅増益の要因として収益力改善も見逃せない。
2000年以降で恥ネて売上高純利益率は5%に乗せ過去最高を更新した。
もっとも重要なのは今期の見通しだ。
前期よりも今期の伸び率が大きい業種を見てみると…。
《売上高》
造船、建設、不動産。
《経常利益》
繊維、紙パ、造船、陸運、海運。
《純利益》
紙パ、造船、小売、陸運、海運、ガス。

以上は足元の話。
地に足のついていない話は日曜日経朝刊の「仮想通貨、FXから流入」の記事。
2017年度の仮想通貨の取引金額は約69兆円。
前年度の20倍に膨張したという。
株式の280兆円ほどではないが、ETFの約30兆円、REITの約2兆円は超えた。
一方で店頭FXの取引金額は4,179兆円で前年度比15%減。
仮想通貨の国内投資家は延べ360万人。
稼働口座は約4割だから150万口座が実稼働と計算できる。
FXは730万口座あって稼働口座は約1割だから約73万口座が実稼働。
既に仮想通貨はFXを口座数では上回っているというのが現実だ。
興味深いのはTVドラマなど登場する人の理由。
以前はギャンブル、そして株式投資だった。
ここ数年はFX取引は主流となっていた。

それが今放送中のフジTVの木曜十時の「モンテ・クリスト伯」では不動産王の婦人がのめり込んだのは「仮想通貨」。
トレンディドラマとはいえ、巌窟王の登場人物が火傷をするのが「仮想通貨」。
原作者のデュマもビックリの世界である。
ビッドコインで損をして「もう二度とやらない」という声がある一方で仮想通貨投資家の声は「スリルがある」。
そんな環境で「日本人の金融リテラシーの未熟さ」を学問チックに指摘する声。
それこそ、彼らにとっては「長期投資」も「分散投資」も全く関係ない。
「金融リテラシー」って何?の世界だ。
「動くもの。勝負が早いもの」が好きなだけ。
そのスリルを味わいたい向きに「適正価格」など馬の耳に念仏。
そもそも「適正価格」など考えることの方が変な世界だし傲慢だろう。
おそらくFXや仮想通貨の流行は日本の投資家の琴線に触れてきたに違いない。
国家経済に貢献していないなんてことは全く関係ない。
資産の健全な形成も産業資本の長期安定的調達などというお題目は別の世界の出来事。
「儲かればいい。楽しければいい」。
本音で言えば原点はたぶんココでしかない。

どんなに立派に飾ってもこれ以上の投資の理由はなかろう。
そう考えると、日本人という投資家は実は臆病なようで実は博打好きなのだろう。
江戸時代の富くじだって似たようなもの。
なにも丁半博打やコンコロリン、麻雀花札パチンコだけがギャンブルではない。
FXだって、仮想通貨だって、株だって根源的参加理由は「儲けたいに参加したい」。
そうではないと否定して学問チックな箔を付けたところで事態は変わりはしない。
だったらこの「ギャンブル好き」の国民性を受容して「悪い胴元に引っかからない法」を流布したほうが役に立つ。
「株式と世界経済」あるいは「適正株価論」なんてことを学ぶのが好きでない人たちの群れなのだ。
だからこそほとんど何も考えないで「上か下」の二者選択的投機が理屈抜きで好きなのだ。
賭博には魅力があるのはドストエフスキーでなくとも理解できるところ。
破滅と再生を繰り返していく人間の深層心理を鋭く描き出た「賭博者」は絶品だ。
人は不労所得=あぶく銭が大好き。

そして金銭のためには飽くなき追求を永遠に続けるもの。
これを見えないフリで居続けるととんでもないシッペ返しに会うかも知れない。
「欲と投機の市場論」なんて飾れば少しは学問チックにはなるだろう。
少なくとも実践的には財務諸表論などよりも良い筈だ。
何も考えたくない向きが多いから「罫線と経済スケジュール」でのFX。
さらに何も考えたくない向きも多いから「値動きにつく」というのが仮想通貨。
株式市場のバブルだって同じだったように思えるのは気の所為だろうか。
しかも昼間よりも夜間の方が秘め事チックで好まれる傾向がある。
巧妙に筋道や推理推論がありそうだからといって昼間の株式市場だけが高尚な訳ではないのだろう。
「投資」の原点はすべからく「投機」と考えたほうがスッキリするような気がする。
アナリストとかストラテジストというのは「予想屋」。
やや逆説チックながらこう言ってしまうと残念ながら身も蓋もないが・・・。

「3月20日から3日続落はない日経平均。
5日続伸はあった」。
これが今のリズムでもある。
財務省が発表した4月貿易収支(速報、通関ベース)は6,260億円の黒字だった。
市場予想は4,400億円の黒字。
摩擦の問題さえなければ好材料だったが…。

「75日線は右肩下がり継続。
下落幅は1日7円程度の縮小しておりまもなく横ばいに転じよう」というのは明るい見方。
一方200日線は継続して右肩上がり。
1日15円ずつ上昇している」。
75日線は21,943円、200日線は21,682円でその差は261円。
75日線と200日線は1日22円ずつその差を縮小している。
とするとあと⑪日で短期線が長期線を下回るデッドクロスの可能性がある。
これは暗い見方。
75日が早く上向いてこの狐狸のバトルを避けてもらいたいものだ。

興味深かったのは「お地蔵さんとお饅頭」の昔話。
どこかの村にお地蔵さんがあって、そこに村人がお饅頭を1個お供えした。
翌日になったら、お饅頭が2つになっていた。
そのままにしていたら、そのまた次の日になったらお饅頭が4個になっていた。
「これはすごい」と噂が広がって、村の衆が集まってきた。
「俺も置こう」、「私も置こう」と言って、みんながお饅頭を置いた。
すると100個あった饅頭が、翌日には200個になった。
噂は隣村まで広がった。
試しに米や野菜やいろんな物をお供えしたらすべて翌日には倍になっていた。
村のみんなは狂喜乱舞。
家中のものを集めてお供えした。
その翌日、村人たちが勇んでお地蔵さんの前に行ってみると…。
そこには何一つ残っていなかった。

◇━━━トラッキング━━━◇
・・・7%上昇はタッチ、5%下落はロスカット

4/26★エスイー(3423)682円→628円 調整
4/27◇ヤマシン(6240)1,229円→1,345円 タッチ
5/01★HMT(6090)2,004円→1,961円 調整
5/07☆曙ブレキ(7238)287円→255円 ロスカット
5/09★アンジェス(4563)515円→501円 調整
5/10◇ヨネックス(7906)679円→765円 タッチ
5/16☆モブキャスト(3664)646円→687円 好調
5/17☆ネットマ(6175)692円→720円 堅調
5/18☆イーレックス(9517)1,126円→1,156円 堅調
5/21★エスプール(2471)1,753円→1,744円 調整

 

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