FX取引において「ポジション」は持ち高という意味です。
「ポジションを持っている」「ポジションを建てる」という表現をし、通貨を購入して保持している状態を指します。
FXをはじめたての頃は、どこでポジションを取るべきか分からず苦戦する人も多いでしょう。
ポジションにも意味があり、種類があります。それぞれの役割・注意点を理解することで、安全な取引を行えますよ。
今回の記事はFXのポジションについて解説します。
FXで使用する4つのポジション
- ロングポジション
- ショートポジション
- スクエアポジション
- ネットポジション
FXでは、「買い」「売り」2つのポジションがメインポジションです。FXは「安くで買い、高くで売る」「高くで売って、安くで買い戻す」の差額で利益を狙います。
ロングポジションとショートポジションでは取引の役割が異なるため、それぞれの意味を理解することが大切です。
また、買い・売り以外にも「スクエアポジション」「ネットポジション」というポジションも存在します。
それぞれのポジションがどのような役割を持っているのか、次の項目で紹介します。
ロングポジションは買いポジション
FX取引において、新しく通貨を買うことをロングポジションと呼びます。
ロングポジションではポジションを持ったときより通貨の価値が上昇し、売った時に差額がある場合、利益が得ることが可能です。
ポジションを持ったときより通貨の価値が下がった場合は、買った時との差額で損失が発生します。
ショートポジションは売りポジション
ロングポジションとは逆に、ショートポジションは通貨を売ることを指します。
「安くで買って高くで売る」が戦略のロングポジションに対し、ショートポジションは持っていない通貨を「高くで売り安くで買い戻す」戦略のポジションです。
ショートポジションは為替通貨の価値が下がった時に買い戻しを行えば、ポジションを保持した時との差額を利益として獲得できます。
通貨の価値が上がってしまい、買い戻しをすると損失に繋がるため注意しましょう。
スクエアポジションは何も保有していない状態
スクエアポジションとは主に下記のことを指します。
- ポジションを保有していない状態
- ロングポジション・ショートポジション共に同じ数量を保有している
スクエアポジションはポジションを保有していないことを言います。ポジションを保有していないため、取引による損益が発生することはありません。
また、ロングポジションとショートポジションを同時に保有することを両建てと言い、両建てでポジション量を同じにすることもスクエアポジションです。
スクエアポジションにしておくことで、急激な為替レートの動きに巻き込まれることがありません。
相場の様子を見ておきたい時は、スクエアポジションにしておきましょう。
ネットポジションは買売ポジションの差のこと
ネットポジションは同一のポジションに対して、買いポジションと売りポジションの差のことを言います。
例えば、ロングポジションを0.5ロット、ショートポジションを0.2ロット保有している場合は、ネットポジションは0.3ロットとなります。
ネットポジションの使うメリットとしては、ポジション保有による含み損の増えるスピードを抑えられる点です。
ロングポジションの保有時にショートポジションも合わせて保有しておくことで、相場が下落した場合でも損失を抑えることができます。
その反面、得られる利益も少なくなるため注意しましょう。
FXのポジションに関する5つの用語
- ポジションメイク
- ポジションクローズ
- ポジション調整
- ロスカット
- ショートカバー
FXのポジションに関する用語は上記の5つあります。
それぞれFX取引を行なっていく上で、頻繁に使用する用語になるため覚えておきましょう。
次の項目でFXのポジションに関する用語を解説します。
ポジションメイク
ポジションメイクとは、ポジションを保有する際に使用する用語です。
「ポジションを建てる」「ポジションを持つ」と言い換えることができます。
- 米ドル円を売り方向にポジションメイクした。
- 判断材料が少なくて、今週はポジションメイクしなかった。
上記のような場面で使用することが多いです。
ポジションクローズ
ポジションクローズとは、保有しているポジションを決済することを意味します。
ポジション保有の際に使用する、ポジションメイクとは対象の用語となります。
- 米ドル円をポジションクローズした。
- 今日は良いタイミングでポジションクローズできた。
ポジションクローズは、上記のようなポジション決済を行う際に使用することが多いです。
ポジション調整
ポジション調整とは保有中のポジションを整理したい場合に、一部のポジションを決済することを言います。
主に為替変動リスクを抑えるために経済指標の発表前に調整したり、連休前やクリスマス・年末年始といった取引が行えない期間に合わせてポジション調整を行なったりします。
為替ニュースなどでは、下記のような使い方をされる場合が多いです。
- 米ドル円がクリスマス前にポジション調整の買いが出て上昇した。
ロスカット
ロスカットは一定水準以上の損失が発生した場合に、トレーダーの含み損が増加しないようにポジションを強制決済することを指します。
経済指標などの影響で急激な価格変動が起こり、ロスカットが執行されると口座残高がマイナスになることがあります。
残高がマイナスになると、追加で入金を行う必要のある「追証」が発生することがあるため覚えておきましょう。
ショートカバー
ショートカバーとは為替相場が下落した後に短期の売りポジションの買い戻しにより、相場が反発することを言います。
FX市場では価格が大きく下落している状況となった場合、一斉に買い注文が増える傾向にあるため、為替レートが上昇しやすくなります。
- 本日の東京市場ではショートカバーが入り、相場が大きく反発しました。
ショートカバーは上記のような使われ方をします。
FXのポジション保有時の6つの特徴
- ポジションには有効期限がない
- ポジション保有期間で取引スタイルが変わる
- 為替レートが変動すると含み損益が生まれる
- ポジションを保有するとスプレッドが発生する
- 損益はポジション決済時に発生する
- ポジションの保有でスワップポイントが得られる
FX取引のポジションには6つの特徴があります。
ポジション保有の際に起こる特徴を理解しておくことで、FX取引の選択肢が広がるため覚えておきましょう。
この項目ではFXポジションを保有した際の特徴を解説します。
ポジションには有効期限がない
FX取引はポジションを決まった期間で手放さないといけないルールはありません。
株の信用取引では6ヶ月間のポジション保有の期限がありますが、FXでは保有期限がなく1度決済して保有し直す必要もありません。
そのため、FX取引は株よりも柔軟な運用を行うことが可能で、ポジションを持ちやすく管理がしやすいと言えます。
ポジション保有期間で取引スタイルが変わる
| 取引スタイル | 取引期間や特徴 |
| スキャルピング | 数秒〜数分間。 小さな利益を積み重ねる取引スタイル。 |
| デイトレード | 数時間〜1日以内。 基本的にポジションを翌日に持ち越さず利益を積み重ねるスタイル。 |
| スイングトレード | 数日〜数週間ほど。 取引時間を長くし1回の利益を大きく狙う取引スタイル。 |
| ポジショントレード | 数週間以上。 長期取引を前提とした取引スタイルでスワップポイントを狙うことも可能。 |
FX取引ではポジション保有期間で取引スタイルが異なります。
スキャルピングは数秒〜数分間の取引時間のため獲得できる値幅は少ないですが、トレード回数を重ねたり1回あたりの取引通貨量を増やすことで利益を狙って行きやすくなります。
デイトレードのポジション保有は数時間〜1日以内です。
そのため、スキャルピングに比べると獲得する値幅が伸び、1回あたりの取引通貨量を増やさないほうが安全にトレードできます。
スイングトレードは数日〜数週間でポジションを保有するため長期的なトレードスタイルになります。
スキャルピング・デイトレードに比べると獲得できる値幅が増える分、1回あたりの取引通貨量を多すぎるとロスカットされるリスクが高まるため注意が必要です。
ポジショントレードは数週間以上と一番長期的にポジションを保有する取引スタイルです。
長期的にポジションを保有するため、スワップポイントによる利益を狙うことができます。
為替レートが変動すると含み損益が生まれる
FX取引ではポジション保有を行うと含み損益が発生します。
例えば米ドル＝110円の際に10,000通貨の買いポジション保有した場合は、下記のような含み損益になります。
（112円-110円）×10,000＝20,000円
米ドル110円の際に買いポジションを保有し米ドル円が112円に上昇した場合は、2円の差益がありますので20,000円の含み益となります。
（109-110円）×10,000＝-10,000円
米ドル110円の際に買いポジションを保有し米ドル円が109円に下降した場合は、-1円の差益がある状態のため-10,000円の含み損となります。
ポジションを保有するとスプレッドが発生する
FXではポジションを保有するとスプレッドが発生します。
スプレッドとは通貨ペアの売値・買値の差のことを指し、FX取引における実質的な手数料のことです。
スプレッドは利用するFX会社によって異なるため、事前に確認してFX会社を利用すると良いでしょう。
下記に比較的スプレッドが狭いFX会社をまとめましたので参考にしてみてください。
| FX会社 | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 |
| みんなのFX | 0.2銭 | 0.9銭 | 0.3銭 |
| DMM FX | 0.2銭 | 0.9銭 | 0.4銭 |
| セントラル短資FX | 0.2銭 | 0.6銭 | 0.4銭 |
| GMOクリック証券 | 0.2銭 | 0.9銭 | 0.4銭 |
| LIGHT FX | 0.2銭 | 0.9銭 | 0.4銭 |
損益はポジション決済時に発生する
FXの取引における損益は、ポジションを決済した時に発生します。
そのため、ポジション保有時の含み損益は決済しなければ資金の増減はしません。
一時的に不利な状況に動いている場合でも有利な状況に転じるまで、ポジションを決済せずに待つことで含み損を解消できる場合もあります。
ポジションの保有でスワップポイントが得られる
FXではポジションを保有することで、「スワップポイント」による利益を狙うことが可能です。
またFXのポジションでは、未決済ポジションを翌営業日に落ち越す「ロールオーバー」が自動的に行われます。
自分自身でポジションを手放す・持ち直す作業が不要なため、ポジション保有期限に縛られず、自分の好きな取引スタイルで投資ができますよ。
FXのポジション保有時の注意点4つ
- ポジションの増加で管理不足にならないようにする
- 週末・長期休暇の前に決済しておく
- ポジションの塩漬けに注意する
- マイナススワップに注意する
FXのポジションを保有するにも、上記4つの注意点があります。
ポジション保有に有効期限はありませんが、保有し続けるのも注意が必要です。
この項目で解説するポジション保有時の注意点を理解して、上手なFX取引を行っていきましょう。
ポジションの増加で管理不足にならないようにする
FXでは多くのポジションを保有しすぎると、ポジションごとの含み損益を管理するのが難しくなってしまい管理不足になってしまう可能性があります。
想定通りに相場が動くと多くの利益を獲得できる反面、エントリーと逆方向に相場が動くと大きな損失を発生させてしまうのがFX取引です。
FX初心者のうちはロスカットによる損失を避けるためにも、必要以上にポジションを保有しないように心掛けていきましょう。
週末・長期休暇の前に決済しておく
FX取引は土日・クリスマス・年末年始は取引を行うことができません。
休暇中に大きな経済ニュースや政治的事件があった場合、休み明けに為替相場が大きく動くこともあります。
為替相場は休み中も動き続けているため、休み明けに不利な状況にならないためにも週末にはポジション決済をしておきましょう。
月曜日から金曜日までに、取引を終わらせるマイルールを作る事も大切です。
ポジションの塩漬けに注意する
FXのポジションを保有している時に、含み損を抱えているにも関わらず「この通貨はまだ上がるだろう」という考えで、ポジション決済を出来ていない状態を塩漬けと言います。
塩漬けをしている状態でも損失にはなりませんが、所有しているポジション分の資金を動かすことはできません。
またFX会社既定のロスカットラインにかかってしまうと、強制的にポジション決済を行われる可能性もあります。
そのため、ポジションを持つ時は事前に損切ルールを決めておき、塩漬けにならないようにこまめに損切りすることも大切です。
マイナススワップに注意する
FXではポジションを長期保有することでスワップポイントを得ることができますが、その反面マイナスになった場合は金利差分を支払う必要があります。
マイナススワップになるのは、高金利通貨を売り低金利通貨を買った場合のポジション保有の時です。
それに加えて、大きいロットで長期間のポジション保有を行なった場合は、支払うスワップポイントの金額が大きくなるので注意が必要です。
ポジション決済を上手に行う2つのコツ
- 全体資金の2%程度の取引を行う
- 確定申告に合わせてポジション決済する
FX取引のポジション決済を上手に行うことで、収益性を上げることができます。
またFX取引が初心者の方は、ポジション決済のコツを覚えておくことで損失を軽減することも可能です。
次の項目ではポジション決済を上手に行うコツを解説します。
全体資金の2％程度で取引を行う
FX取引を行う際のポジション保有は、全体資金の2％程度にしておくことがオススメです。
FXは大損をしないためにも、資金管理が大切な投資です。ポジション保有を全体資金の2％にしておくことで、損をしても次の取引で取り返せる可能性が上がります。
大きなポジションの保有や複数のポジションを保有してしまうと、精神的にプレッシャーがかかるため取引に影響が出る可能性があります。
安全なFX取引をするためにも、負けを想定したポジションメイクをしましょう。
確定申告に合わせてポジションを決済する
FX取引で得た利益は1月1日から12月31日までの間で20万円を超えると、課税対象となり確定申告が必要です。
損益はポジション決済したものが該当するため、含み損益は含まれません。そのためポジション決済のタイミングを調整する事で、課税対象額も調整できます。
しかし、あくまでも税金支払いの時期をずらすだけで、税金が免除されることはないので気を付けましょう。
FXポジションのまとめ
今回はFXにおけるポジションについて記事にしたので最後にまとめます。
FXでは買いのロングポジションと売りのショートポジションがメインポジションとなります。
またFXのポジションに関連する5つの用語も、FX取引を行う上でよく使用するため覚えておきましょう。
FXではポジション保有に対して有効期限がないため、FX初心者のうちは週末の持ち越しなどに注意が必要です。
FXは大損を発生させないためにも資金管理が重要な投資であるため、初心者のうちは全体資金の2%でポジションメイクを行う工夫をして安全な取引をしていきましょう。