FXのスリッページとは?発生原因と予防策について解説!

スリッページ アイキャッチ

FX取引をしていると「約定ボタンを押したはずなのに、ズレている」という経験をしている人もいると思います。このズレを「スリッページ」と言います。

スリッページにより損をしてしまったり、逆に得をした人もいるでしょう。しかし、トレード回数の多い手法を扱う場合は、損益に関わることにもなるためしっかりとした対策をする必要があります。

まだFX経験のない方でも、今後取引していく上で約定のズレは経験するでしょう。今回の記事ではスリッページの発生原因と予防策について解説します。

目次

スリッページとは注文約定時のズレのこと

FXにおいて「スリッページ」とは、発注・決済を行った際の価格と実際に約定した(注文が確定した)ときのズレを指します。

トレーダーの間では、「滑る」「スリップする」と表現する人もいます。短期的な為替変動や価格の急な動きを狙った取引を行う人には、避けることはできない言葉です。

スリッページ画像
  1. 105.10円のときに注文
  2. 為替レートが動き、実際に約定したのは105.09円
  3. 1pipsのスリッページが発生

上記の場合、実際に約定したのは105.09円になるため、1pipsのスリッページが発生となります。

FXでスリッページが起こる5つの原因

  • 注文から約定までに遅延が発生しているケース
  • 取引する側の通信環境が悪い
  • 証券会社のシステム強度が弱いと起こる
  • 荒れている相場・動かない相場で起こりやすい
  • 買い・売り注文が足りない時に起きる

FXでスリッページが起こる原因として、上記5つの原因が挙げられます。

スリッページはFX取引を行う上で避けられない現象ではありますが、発生する原因を理解しておくことで事前に対策することも可能です。

この項目では、スリッページが発生する5つの原因を詳しく解説します。

注文から約定までに遅延が発生しているケース

FXでは注文から約定までに遅延が発生している場合もスリッページが発生します。

例えば市場が活発で取引が混雑している場合は、ブローカーや取引プラットフォームが注文を処理するまでに時間がかかる場合があります。

注文処理に時間がかかっている際は、注文価格と約定価格にズレが発生してしまうためスリッページが発生しやすいのです。

取引する側の通信環境が悪い

FX取引を行う側の通信環境が悪いと注文してから約定するまでに時間がかかり、その間に為替レートが変動してしまってスリッページが発生してしまうケースがあります。

FX取引を行う際は通信環境が悪くない場所で行うことで、事前にスリッページを抑制することが可能です。

通信環境が悪い場合は、設置場所の変更やルーターの再起動など実施してみましょう。

証券会社のシステム強度が弱いと起こる

サーバー強度やカバー先金融機関の多さでFX会社の約定力は変わります。

FXは証券会社のシステムを通して注文を行なうため、注文の殺到した際はスリッページが起こりやすいです。

またFX会社は注文を受けると、同じ注文を銀行や証券会社に出すことでリスクを減らしています。そのため、取引のカバー先金融機関が多いと顧客からの注文が約定拒否・スリッページすることが起こりにくいです。

FX取引を行う際はシステム強度の強いFX会社を選ぶと良いでしょう。

荒れている相場・動かない相場で起こりやすい

FX取引でスリッページが起きやすい要因として、値動きの激しい荒れている相場・市場参加者の少ない動かない相場に起こりやすいことが挙げられます。

荒れている相場(相場の急変時)が起こる例は、以下の場合です。

  • 要人による重大な発言があった時
  • 経済指標の発表
  • 〇〇ショックなどの暴落や暴騰

上記のような、買い注文だけ・売り注文だけの為替レートの値動きが一方的な時は、スリッページが発生しやすくなります。

市場参加者の少ない相場というのは、買い・売り注文が少ない状況を指します。日本時間の早朝(朝5時〜8時)はFX取引の注文が少なくなるため、動きが少なくスリッページが発生しやすいです。

特に初心者のうちは、荒れている相場・動かない相場は避けて取引すると良いでしょう。

買い・売り注文が足りない時に起きる

FXでは市場の注文数量が少なくなる時間帯ではスリッページが発生しやすいです。

  • 早朝の時間帯
  • クリスマス
  • 年末年始

早朝の時間帯やクリスマス・年末年始といった市場参加者が少ない時間帯では、取引が成立しない場合が多く発生するためスリッページが起きやすいです。

上記の時間帯を避けて取引を行うことで、スリッページを軽減することができるため覚えておきましょう。

スリッページを減らす4つの予防策

  • 許容スリッページを設定する
  • ポジション保有を複数回に分ける
  • 流動性の高い時間帯で取引する
  • カバー先金融機関の多いFX会社を選ぶ

FXにおけるスリッページは多くのトレーダーが直面する課題の1つです。

スリッページを減らすためには予防策を講じておくことで、取引リスクを軽減し安定した取引を行うことができます。

この項目ではスリッページを軽減するための4つの予防策を紹介します。

許容スリッページを設定する

FX取引でスリッページを軽減するための対策として、「許容スリッページ」を設定する方法があります。

許容スリッページを設定することにより、滑ることで起こる利益が減るリスクを抑えることが可能です。

しかし、あまり狭く設定しすぎると相場の急変時に約定しない場合もあるため、取引方法に合わせて設定する必要があります。

約定重視の取引はスリッページを広く設定し、利益重視の場合はスリッページを狭くするなど使い分けると良いでしょう。

例えば米ドル/円=105.100円の時に許容スリッページを10pipsで設定すると、105.000円〜105.200円が約定範囲となり、範囲外の価格では約定しないように設定できます。

ポジション保有を複数回に分ける

FXのスリッページ対策として、ポジション保有を複数回に分けることで大きな被害を事前に予防すること可能です。

FXでは1回あたりのポジション保有でロット数が高すぎると、スリッページの際に被害が大きくなることがあります。

例えば米ドル/円の取引で0.4円のスリッページが起きた場合、下記のような支払いが発生します。

  • 10ロット(100万通貨)の場合は3,000円
  • 1ロット(10万通貨)の場合は300円
  • 0.1ロット(1万通貨)の場合は30円

上記のようにロット数が大きいほど、スリッページが発生した際の被害が大きくなります。

そのため、ポジション保有を行う際は一度に大きく注文するのではなく、注文を複数回に分けることを意識しておきましょう。

流動性の高い時間帯で取引する

FXでは流動性の低い時に取引するとスリッページが起こりやすいため、流動性の高い時間帯に取引を行うことでスリッページを軽減することが可能です。

流動性が高い取引時間日本での時間帯
ロンドン市場の取引時間16時〜翌1時
ニューヨーク市場の取引時間21時〜翌6時
東京市場の取引時間9時〜18時

上記のような流動性の高い時間帯では、多くのトレーダーや取引業者が活発に取引を行なっています。

そのため、市場には多くの買い手と売り手が存在し取引のための十分な量の注文が常に準備されているため、希望する価格での取引成立が容易となるのです。

スリッページを軽減することで取引コストを抑え安定した取引を行えるため、スリッページに悩むトレーダーは流動性の高い時間帯で取引を行うようにしましょう。

カバー先金融機関の多いFX会社を選ぶ

みんなのFX14社
GMO外貨30社
DMM FX14社
外為どっとコム26社
ヒロセ通商22社
セントラル短資FX27社
GMOクリック証券20社
SBI FX トレード2社

※調査日:2024年4月19日

GMO外貨はカバー先金融機関が30社あり、国内FX会社の中ではトップクラスに多いです。そのため、スリッページが起こりにくく安定した取引を行うことが可能です。

SBI FX トレードは2社とカバー先金融機関が少ないですが、カバー先には親会社のグループ会社があります。

グループ会社ではさらに多くの金融機関とカバー取引を行なっているため、提携先が少ない数でも約定力が高いFX会社になっている場合が多いです。

スリッページを抑制しやすいFX会社3選

  • GMO外貨
  • みんなのFX
  • ヒロセ通商

FXではスリッページを抑制しやすいFX会社も存在し、これらのFX会社を利用することでスリッページを軽減することも可能です。

スリッページを軽減することで安全な取引を行うことができるため、これからFX取引を始める人やスリッページに悩んでいる人は参考にしてみてください。

この項目ではスリッページを抑制できるFX会社を3つ紹介します。

GMO外貨

GMO外貨
引用元:GMO外貨
約定力高い
通貨ペア数23通貨ペア
取引単位1,000通貨
米ドル/円(スプレッド)0.2銭
ユーロ/円(スプレッド)0.4銭
ポンド/円(スプレッド)0.9銭

GMO外貨は多くのカバー取引先と提携しており、高い流動性を確保しているFX会社です。

これにより希望する価格での取引成立がしやすく、スリッページのリスクを軽減することが可能となっています。

また、GMO外貨では安定した取引執行を実現しているため、短期で取引するトレーダーやスキャルピングを行うトレーダーにとっては魅力的なFX会社と言えるでしょう。

みんなのFX

みんなのFX
引用元:みんなのFX
約定力高い
通貨ペア数32通貨ペア
取引単位1,000通貨
米ドル/円(スプレッド)0.2銭
ユーロ/円(スプレッド)0.3銭
ポンド/円(スプレッド)0.9銭

みんなのFXは取引ツールの充実度と高い約定力で評価されているFX会社です。

みんなのFXでは高機能の取引ツールと豊富なマーケット情報を提供しており、初心者から上級者まで幅広く利用できるFX会社と言えます。

また、約定力99.9%と安定した約定力が評判のFX会社のため、スリッページを抑えた安定した取引を行うことができるでしょう。

ヒロセ通商

ヒロセ通商
引用元:ヒロセ通商
約定力高い
通貨ペア数54通貨ペア
取引単位1,000通貨
米ドル/円(スプレッド)0.2銭
ユーロ/円(スプレッド)0.4銭
ポンド/円(スプレッド)0.9銭

ヒロセ通商は取引商品の豊富さと安定した取引環境で多くのトレーダーに支持されています。

ヒロセ通商の通貨ペア数は54種類と他のFX会社と比べると比較的多くなっており、トレーダーに幅広い選択肢を提供することが可能です。

またヒロセ通商はスキャルピングを公認しており、約定スピードが世界最速水準と謳っています。

低スプレッドと高い約定力と約定スピードで、スリッページを最低限に抑えた取引を期待できるFX会社と言えるでしょう。

まとめ

今回の記事ではスリッページについてまとめました。

スリッページとは、取引の注文をした時と実際に約定した時のズレのことを指します。

FXのスリッページは荒れている相場・動かない相場で起きやすいです。また、約定力の低いFX会社でも起こりやすいため対策が必要です。

スリッページはカバー先金融機関の多いFX会社を選択すると、約定力が高くなるため滑りにくくなります。

FX会社を選ぶ以外にも、許容スリッページを事前に設定しておくことで軽減することも可能です。

今回の記事で紹介したスリッページ対策を参考にして、ストレスのない取引を行なっていきましょう。

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